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【from Editor】反骨の活力を伝えたい(産経新聞)

 「早稲田の大隈講堂で6月に公演するんですよ」

 東北学院大の下館和巳教授はほほえみながら切り出した。2年8カ月の東北総局勤務を終え、仙台を離れる直前のことだ。

 以前この欄で紹介したが、下館教授はシェークスピアの悲喜劇を東北地方の言葉と歴史を取り入れて演じる「劇団シェイクスピア・カンパニー」(仙台市)の主宰でもある。同劇団は平成5年の設立以来、宮城、東北各県、東京、エディンバラ(英国)などで公演し、シェークスピア劇の新たな魅力を発掘、東北の文化・歴史の奥深さも発信している。

 今回は早稲田大学校友会設立125周年の記念イベントとして「破無礼~奥州幕末のハムレット」を上演するという。早大、シェークスピアといえば坪内逍遥。評論・小説・劇作家であり、シェークスピア翻訳の先駆者でもある。早稲田大学演劇博物館は、坪内の古希と「シェークスピヤ全集」の翻訳完成を記念して設立された。この“聖地”ともいえる場所での公演に「坪内逍遥がいなければ今日の日本のシェイクスピアはないといえます(同劇団HP)」と敬意を表する教授。目を輝かせて話す表情には、“これまでの活動が認められた”という達成感も感じられた。

 また新作「蝦夷オセロ」の脚本を書き上げたことも知らされた。上演には人種的偏見の問題克服がカギとなったらしいが、共同脚本構想の作家、丸山修身氏は同劇団会報誌で「逃げていては駄目だ、むしろ正面から立ち向かわねば」と述懐。そして「東北の歴史と風土を踏み台にして、(中略)まったく新しい姿で舞台が展開するだろう」と結んでいる。この常に挑戦し続ける活動には、演劇界に一石を投じて中央に影響を与えようとする意欲が伝わってくる。

 東北総局勤務時には、地元政財界などさまざまなジャンルの方と交流を持ったが、みんな口をそろえて「地方からの活性化」「中央へのアピール」を真剣に訴えていた。下館教授と同じように“地方から変える”“中央だけには任せていられない”という思いがみなぎり、地方特有の「反骨の活力」にあふれていた。

 本社勤務1カ月余り…熱く語っていた彼らの姿が目に浮かぶ。先行き不透明な時代、地方だからこそ「変革への思い」も強い。暗いニュースばかりの昨今、地方の挑戦する姿を掘り起こして、読者に活力を届けたい。(地方部長 楠崎正人)

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